夏の終わりになると、いつもの化粧水がしみる、朝はしっとりしているのに夕方だけ粉をふく、といった不安定さが出やすくなります。
この記事では、小田切ヒロさんが著書で伝えている「捨てる美容」の考え方を手がかりに、8月後半に肌がゆらぐ理由と、足し算をやめて立て直す手順を紹介します。
夏の終わりに肌がゆらぐのは、8月のダメージが積み上がっているから
8月後半の肌トラブルは、その日にやったことが原因とは限りません。
6月から積み上がってきたものが、ここでまとめて表に出てくる時期です。
肌の表面には、外からの刺激を防ぎ、内側の水分を逃がさないためのバリア機能があります。
皮膚科の解説では、このバリアは皮脂膜、角層細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)の3つがそろって働くとされています。
夏はこの3つを削る条件がそろいます。
- 紫外線を浴び続けたことによる角層への負担
- 冷房のきいた室内で長時間過ごすことによる乾燥
- 汗をかいてはふき取る、という摩擦の繰り返し
- 皮脂が気になって洗浄力の強いアイテムを使い、洗う回数も増えている
やっかいなのは、夏のあいだは皮脂とテカリで表面が潤って見えることです。
内側では水分が減っているのに、鏡の中の肌はベタついている。
だから多くの人が、この時期に「もっとさっぱりさせよう」と洗浄を強め、結果としてバリアをさらに削ってしまいます。
夏に浴びた紫外線をどう捉えるかについては、肌がきれいな人が夏に何を守っているかをまとめた記事も合わせて読んでみてください。
ここを取りこぼすと、秋にいくら塗っても追いつかない状態になりやすいためです。
小田切ヒロさんの「捨てる美容」は、9割が落とすこと
ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんは、著書『大人のキレイの新ルール 捨てる美容』(世界文化社)で、スキンケアの9割は落とすこと、与えるのは1割という考え方を伝えています。
この本は後に三笠書房から『やりすぎないからキレイになれる 捨てる美容』としても出ています。
日経ウーマンの記事でも、9割捨てるスキンケアとメイクの新常識として紹介されました。
ここで言う「落とす」は、洗浄力を上げることではありません。
肌の上に置いたものを、その日のうちにきちんとオフする。
そして、肌のメカニズムと骨格を理解したうえで、いらないものを削ぎ落としていく。
メイクについても、色数を減らすほど洗練されて見えるという考え方が一貫しています。
大人になるほど、アイテムは増えていきます。
毛穴が気になれば毛穴のもの、ハリが気になればハリのもの、と悩みごとに1本ずつ足していくからです。
でも肌が受け止められる量には限りがあります。ゆらいでいる肌に必要なのは、新しい1本ではなく、今のせているものを一度おろすことだという発想は、8月後半の肌にそのまま当てはまります。
同じことは、たくさん試したうえで残す派の人にも見られます。
1000を超えるケアを試したうえで、続いているものだけを残したと語るMEGUMIさんの美容習慣も、結局は引き算に行き着いた記録です。
増やすことが上達ではなく、選び切ることが上達だと考えるほうが、肌にとっては優しい判断になります。
足し算をやめる。夏の終わりの引き算ケア
具体的な手順に落とします。
今日から2週間、この形を試してみてください。
- 洗顔は朝晩1回ずつに戻す。汗をかいたタイミングで洗いたくなりますが、日中はぬるま湯かティッシュで押さえるだけにします。洗浄剤を使うのは1日2回まで
- クレンジングは、その日つけたものに合わせる。日焼け止めだけの日に、濃いメイク用の強いクレンジングを使わない。使い分けるだけで負担が減ります
- スクラブと拭き取り化粧水は2週間おやすみする。角質を取りたくなる時期ですが、ゆらいでいるサインが出ているあいだは手を止めます
- 重ねる品数を3つまでにする。化粧水、保湿、日焼け止め。美容液を複数のせている人は、いちばん手放したくない1本だけ残します
- 手の圧を弱くする。塗り込まず、手のひらでのせて温度で入れる。摩擦は夏の肌に最も残りやすい負担です
ポイントは、減らすのは「洗浄と摩擦と品数」であって、保湿と日焼け止めではないことです。
夏も保湿は必要だと皮膚科の情報では共通して伝えられています。
減らす対象を間違えると、乾燥がさらに進むことになります。
自分の肌が今どこに負荷を抱えているのかを整理したい人は、1分でできる肌のゆらぎリスク診断で現状をチェックしてみてください。
原因の見当がつくと、減らすものを選びやすくなります。
捨ててはいけないものもある
引き算という言葉は、やりすぎると危ないところもあります。
捨てる美容の考え方を実践するときに、手放してはいけないものを整理しておきます。
日焼け止めは残します。 8月後半でも紫外線量は多い時期が続きます。ゆらいでいるからこそ、刺激の少ないタイプに替えてでも続けるほうが、肌のためになると考えられています。塗る量を減らすのではなく、落としやすいタイプに替えるのが現実的です。
保湿も残します。 ベタつくからと乳液やクリームを全部やめると、水分が逃げる状態のままになります。テクスチャーを軽いものに替えるのは有効ですが、ゼロにはしません。
痛みやかゆみが出ているときの受診も、後回しにしません。 ヒリつく、赤みが引かない、といった状態が続くときは、セルフケアで様子を見るより皮膚科で相談するほうが早く落ち着きます。気になる症状が長引く場合は、医療機関に相談してください。
つまり引き算は、量を減らすゲームではありません。必要なものだけを残すために、なんとなく足したものを外していく作業です。
この線引きを持っておくと、雑誌やSNSで新しいアイテムを見たときにも、自分に必要かどうかを判断しやすくなります。
肌だけを見ない。内側から立て直す
夏の終わりに肌がゆらいでいる人は、たいてい肌以外も疲れています。
熱帯夜で眠りが浅い、冷たいものが続いて胃腸が重い、冷房と外気の差で体がだるい。
この状態のままスキンケアだけを完璧にしても、立て直しには時間がかかります。
とくに睡眠は、肌の回復と切り離せません。
夜のうちに体を休ませる時間をつくれているかどうかで、翌朝の肌の落ち着き方は変わってきます。
目安として、就寝の1時間から2時間前に40度前後のお湯に10分から15分浸かり、上がった深部体温が下がっていくタイミングで布団に入ると、寝つきが安定しやすいといわれています。
寝る前の1時間だけでも画面から離れる。
この2つのほうが、新しい美容液を1本増やすより先に効いてくることがあります。
食事側からのアプローチも同じです。
夏のあいだに冷たい麺類や飲み物が続いた人は、腸内環境が乱れていることが少なくありません。
肌と腸のつながりについては、腸内環境と肌の関係をまとめた完全ガイドで仕組みから整理しています。
塗るケアを引き算したぶん、食べるケアを一つ足す、というバランスの取り方が現実的です。
小田切ヒロさんの言う「捨てる」は、手抜きの推奨ではありません。肌が本来持っている力を邪魔しないところまで、余計なものをどけていくという発想です。
だからこそ、外側で引いた分を、内側の休息と食事で支える形になります。
まとめ
夏の終わりの肌ゆらぎは、8月に積み上がった紫外線と乾燥と摩擦が表に出てきたサインです。
ここで新しいアイテムを足しても、肌が受け止めきれずに空回りすることがあります。
小田切ヒロさんの捨てる美容が示しているのは、9割は落とすこと、与えるのは1割という順番でした。
洗浄と摩擦と品数を減らし、日焼け止めと保湿は残す。
そのうえで睡眠と食事から内側を整える。
これが、秋にきれいな肌で入っていくための、いちばん地味で確実な準備になります。
まずは2週間、増やさない期間をつくってみてください。
何をやめたら落ち着いたのかが分かると、その後に本当に必要な1本も選びやすくなります。



