ヘアメイクアーティストの小田切ヒロさんが、42歳で「物欲がなくなった」と公表しました。

持ち物が減ると、なぜ気持ちまで軽くなるのか。

この記事では、その背景にあるといわれる決断疲れの仕組みと、今日からできる身の回りの整理の始め方を解説します。

小田切ヒロが語る「物欲がなくなった」1年

小田切ヒロさんは美容メディア美STのインタビューで、この1年でさらに物欲がなくなったと語っています。

以前は買い物に喜びを感じていたけれど、今は物が溜まることへのストレスの方が大きい、という趣旨の発言です(美ST ONLINE)。

来年の引っ越しに向けて、シンプルでミニマムに暮らしたいという計画も明かしています。

一方で、何もかも削るわけではありません。

食事や衣服、生活環境については、量より質を上げることに力を入れているといいます。

メイク道具も定期的に見直し、役目を終えた古い道具は手放しているそうです。

増やすことより、今持っているものの質を上げること。

小田切ヒロさんの発言からは、そういう価値観の変化が見えてきます。

一方で、すべてを機械的に手放しているわけではないようです。

長年愛用してきた、いわば「国宝級」と呼べるお気に入りのコスメは、今も手放せずにいると別のインタビュー媒体「アンテナ」で語っています。

つまり基準は「とにかく減らす」ではなく、「本当に自分にとって価値があるかどうか」なのです。

好きなものまで無理に手放す必要はない、という点は覚えておきたいところです。

ヘアメイクという、日々たくさんの色や道具の中から選び続ける仕事をしているからこそ、この感覚にたどり着いたのかもしれません。

なぜ物を減らすと脳が休まるのか。決断疲れの仕組み

持ち物を減らすことと、脳の疲れにはどんな関係があるのでしょうか。

ヒントになるのが「決断疲れ」という考え方です。

人は意思決定を繰り返すほど、判断のための心のエネルギーが消耗していくと考えられています。

これは心理学者バウマイスターらが提唱した理論で、自己制御のリソースには限りがあるという考え方です。

実際、コロンビア大学の研究では、裁判官の保釈判断が午前と午後で大きく変わることが報告されています。

午前中の許可率は約65%だったのに対し、午後には約10%まで下がっていたそうです。

同じ人でも、判断を重ねるほど質が下がりやすいということです。

持ち物が多いと、何を着るか、何を使うか、何を残すかという小さな判断の場面が日々増えます。

その積み重ねが、気づかないうちに脳の負担になっているといわれています。

物を減らすことは、単なる片付けではなく、日々の判断の総量を減らす行為でもあるのです。

また、意思決定を繰り返すと脳内のブドウ糖が使われ、生理的にも判断力が落ちやすくなるという報告もあります。

現代の暮らしは、服やコスメだけでなく、スマホの通知やSNSの情報など、選ぶ・判断する場面そのものがもともと多い環境です。

身の回りの持ち物を減らすことは、そうした判断の総量を少しでも軽くするための、手をつけやすい一歩だといえます。

「量を減らして質を上げる」という発想

小田切ヒロさんの姿勢で参考になるのは、我慢して減らすのではなく、基準を上げて選び直しているという点です。

何を残すか自分の中で基準が決まっていれば、その都度悩まずに判断できます。

これは脳疲労ケアの分野でも近い発想が語られています。

神崎恵さんが語るストレスと肌の関係についての記事でも、ストレスや心の負担が体に表れる仕組みを紹介しています。

気になる方は神崎恵に学ぶ「気力」美容の記事もあわせて読んでみてください。

判断の場面を減らす工夫は、夜の過ごし方にも応用できます。

小田切ヒロさんの入眠儀式を紹介した記事では、香りや温めで1日の切り替えを作る習慣を取り上げています。

こちらは小田切ヒロの入眠儀式の記事で詳しく解説しています。

今日からできる、脳を休ませる持ち物整理の始め方

大がかりな断捨離をする必要はありません。

小さく始められる方法を紹介します。

  1. まずは1日1つ、明らかに使っていないものを手放す
  1. 服やコスメは「この1年で使ったか」を基準に選び直す
  1. 新しく買うときは「今持っているものより質が上がるか」で考える
  1. 迷う場面が多いカテゴリーから優先して基準を決めておく

基準を先に決めておくと、店頭やクローゼットの前で毎回悩まずに済みます。

その分、判断のためのエネルギーを他のことに使えるようになるといわれています。

たとえば「平日に着る服はこの数だけ」「コスメは使い切ってから次を買う」のように、あらかじめルールを決めてしまう方法もあります。

ルールがあれば、その場での判断そのものが不要になるからです。

小田切ヒロさんが道具を定期的に見直しているのも、その都度悩むのではなく、更新するタイミングをあらかじめ決めているからだと考えられます。

つまずきやすいポイント

物を減らすこと自体が目的になってしまうと、かえって迷いや後悔が増えることがあります。

大切なのは数を減らすことより、選ぶ基準を持つことです。

無理に一気に処分しようとすると、判断の回数がその日だけ急増して、かえって疲れてしまうこともあります。

焦らず、少しずつ基準を育てていく気持ちで取り組むのがおすすめです。

もうひとつ気をつけたいのは、他人の持ち物の量と自分を比べないことです。

どれくらい持つのが心地よいかは人によって違います。

大事なのは数字ではなく、自分にとって判断しやすい環境になっているかどうかです。

また、心身の疲れが強く、片付けや決断そのものが難しいと感じるときは、生活習慣の見直しだけで抱え込まず、専門家や医療機関に相談することも選択肢に入れてください。

自分の脳疲労のタイプが気になる方は、1分でできる脳疲労タイプ診断でチェックしてみるのもひとつの方法です。

脳疲労の仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい方は、脳疲労とは。原因の仕組みとセルフケア 完全ガイドにまとめています。

まとめ

小田切ヒロさんの「物欲がなくなった」という言葉の背景には、量より質を選ぶという価値観の変化がありました。

持ち物が多いほど、日々の小さな判断は増えていきます。

その判断の積み重ねが、決断疲れという形で脳の負担になっているといわれています。

今日1つだけ何かを手放すこと、選ぶ基準を先に決めておくこと。

小さな一歩からで十分です。

完璧なミニマリストを目指す必要はありません。

自分が判断しやすい量、心地よく感じる量を見つけることがゴールです。

暮らしの中の判断を少し減らすだけで、脳を休ませる時間を作っていきましょう。