食欲は落ちているのに、夏は体重が減らない

暑さで食が細くなっているのに、体重計の数字は夏の初めとほとんど変わらない。むしろ少し増えている。そんな経験はないでしょうか。

夏は汗をかくぶん痩せやすい季節だと思われがちですが、実際には「食べていないのに減らない」という声が毎年のように上がります。この記事では、その理由を基礎代謝の低下・糖質への偏り・内臓の冷えという3つの角度から整理し、我慢を増やさずに体型をキープするための食べ方の工夫を紹介します。読み終えるころには、夏に手を伸ばしがちなあの一杯やあの一皿を、どう置き換えればいいのかが具体的に見えているはずです。


夏は基礎代謝が下がりやすい季節

まず押さえておきたいのが、夏という季節そのものの特徴です。

私たちの体は、外が寒いときには体温を保つために自ら熱を作ります。ところが真夏は外気温がすでに高く、体が熱を作る必要がほとんどありません。そのため基礎代謝は1年のなかで下がりやすいといわれています。何もしていないときに消費されるエネルギーが減るわけですから、同じ食事量でも余りやすくなるのは自然なことです。

さらに、暑さで屋外に出る機会が減り、冷房の効いた室内で過ごす時間が長くなると、日常的な活動量そのものも落ちがちです。汗をたくさんかくので運動した気分になりますが、汗で減った体重の大半は水分。水を飲めば戻る数字であって、体脂肪が落ちたわけではありません。

夏太りの原因としてよく挙げられるのは、この基礎代謝の低下に加えて、糖質への偏り、そしてむくみによる水太りの3つです。どれかひとつが極端に悪いというより、3つが少しずつ重なって「食べていないのに減らない」という状態を作っています。


冷たい飲み物と内臓の冷えが、めぐりを鈍らせる

夏の食生活でいちばん変わるのは、飲み物かもしれません。

朝から冷たいアイスコーヒー、日中はペットボトルの清涼飲料、帰宅後はキンキンに冷えたビールやアイス。気温が高い日ほど、口にするものはどんどん冷たくなっていきます。

冷たいものそのものにカロリーがなければ、それだけで太るわけではありません。問題は、冷たい飲食が長く続いたときに起こる内臓の冷えです。体の内側が冷えると血流が落ち、めぐりが鈍くなって、体が本来のペースで働きにくくなるといわれています。胃腸の動きが落ちて食欲不振やだるさにつながることも指摘されています。

もうひとつ見落としがちなのが、飲み物の中身です。スポーツドリンクや清涼飲料には糖質が多く含まれるものもあり、水分補給のつもりで1日に何本も飲むと、思った以上の量を摂っていることがあります。液体の糖質は吸収が早く、血糖値を上げやすいのも特徴です。

とはいえ、真夏に冷たいものを完全にやめるのは現実的ではありませんし、熱中症予防の観点からも水分はしっかり摂る必要があります。すべてを我慢するのではなく、1日のうち何回かを常温の水やお茶に切り替える、糖質の多い飲料は運動のあとに回すといった配分の工夫のほうが、ずっと続けやすい方法です。


そうめん中心の食事が招く、たんぱく質不足

暑い日にするりと食べられる麺類は、夏の食卓の強い味方です。そうめん、冷やし中華、ざるそば。作るのも片づけるのも簡単で、食欲がない日にはありがたい存在です。

ただ、管理栄養士が繰り返し指摘しているのが、麺だけで食事を済ませることのリスクです。そうめん1食分は、その多くが炭水化物。たんぱく質やビタミン、ミネラルはほとんど摂れません。筋肉の材料になるたんぱく質が不足すると筋肉量が落ち、それがまた基礎代謝を下げてしまう。夏太りの悪循環はここで加速します。

しかも、麺類やアイス、清涼飲料に共通しているのは、吸収が早く血糖値を上げやすい糖質がメインだということ。血糖値が急に上がって急に下がると、しばらくしてまた甘いものが欲しくなる、という流れも起こりやすくなります。食欲がないはずなのに、気づけばアイスを2つ食べていた。そんな日があるのは、意志が弱いからではなく、食事の中身がそうさせている面もあるのです。

対策はシンプルで、麺に「もう一品」を足すこと。そうめんならゆで卵やツナ、蒸し鶏、冷ややっこを添える。冷やし中華ならハムだけでなく卵や豆腐を増やす。それだけで、たんぱく質もビタミンも一気に補えます。みょうがや大葉、しょうが、七味などの薬味や香辛料は、味の変化がついて食が進むうえに、内臓の血流を促すという観点からもすすめられています。

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紗栄子さんが続ける「温かいものから始める」朝の習慣

内側から立て直すヒントとして参考になるのが、紗栄子さんが公表している朝のルーティンです。

紗栄子さんは、朝起きてまず1杯の水か白湯を飲むと語っています。胃腸を温めて、体も胃も目覚めさせてから朝食をとるという考え方です。またダイエット期間中の朝食は和食にして、最初に体に入れるものはお味噌汁と決めていたことも公表しています。

白湯については、季節を問わず飲むとも語られています。週刊女性PRIMEなどの取材では、夏場にも白湯を飲んでおくことで冬の肌の調子まで変わってくる、という趣旨の発言が紹介されています。暑い時期こそ冷たいものだけに偏らない、という発想です。

ここで注目したいのは、特別な道具も高価な食材も出てこないことです。やっているのは、1日の最初に体へ入れるものを温かいものにする、ただそれだけ。冷房と冷たい飲み物で内側から冷えやすい夏に、朝の1杯で体をリセットするという意味では、とても理にかなった習慣といえます。

もちろん、白湯を飲めば痩せるという単純な話ではありません。それでも「朝いちばんを温かいものにする」という置き換えは、今日から誰でも始められて、続けるハードルが低い。まずはここから、と考えるにはちょうどいい入り口です。


今日からできる、夏の体型キープの食べ方

最後に、無理なく取り入れられる工夫を5つにまとめます。

  • 朝の最初の1杯を白湯か常温の水にする:冷えた内臓を温めてから1日を始めるイメージです
  • 麺類にはたんぱく質を1品足す:ゆで卵、ツナ、蒸し鶏、冷ややっこなど。麺だけで終わらせないことが最大のポイントです
  • 温かい汁物を1日1回だけ入れる:味噌汁やスープを1杯。冷房で冷えたお腹をやさしく立て直します
  • 飲み物の糖質に目を向ける:清涼飲料やスポーツドリンクを水・麦茶・炭酸水に一部置き換えるだけでも積み重ねが変わります
  • 薬味と香辛料を味方にする:しょうが、みょうが、大葉、七味など。食欲を助けつつ内臓の血流を促すという観点からもすすめられています

大切なのは、夏に食べたいものを全部やめることではありません。そうめんもアイスも、暑い季節の楽しみのひとつです。やめるのではなく、たんぱく質を足す、温かいものを1回はさむ、飲み物の中身を選ぶ。この3つの置き換えだけで、体の内側の環境はずいぶん変わってきます。

夏は代謝が下がりやすく、食事も偏りやすい季節です。だからこそ、頑張って減らす季節ではなく、整えて秋に持ち越さない季節と考えるほうが現実的です。体のだるさや不調が長く続く場合は、無理にセルフケアで解決しようとせず、医療機関や専門家に相談してください。まずは明日の朝、いちばん最初の1杯を温かいものに変えるところから始めてみてはいかがでしょうか。