毎日シャワーを浴びたくなるほど汗をかいているのに、体重計の数字はまったく動かない。

それどころか夏の終わりに少し増えている。

そんな夏を過ごしていませんか。

これは意志や努力の問題ではなく、夏という季節の体の仕組みが関係しているといわれています。

この記事では、汗をかいても痩せない理由と、夏に代謝が落ちやすい背景、そして残暑のいまから秋に向けて体を立て直す流れを整理します。

汗をかいた分だけ痩せる、は成り立たない

まず前提を整理しておきます。

汗は、上がった体温を下げるために体が出しているものです。

皮膚の表面から水分が蒸発するときに熱を持っていく仕組みを使って、体の中を冷やしています。

つまり汗は冷却装置の働きであって、脂肪を燃やした結果として出ているわけではないと説明されています。

運動して汗をかいたあとに体重が減っているのは、ほとんどが水分が出た分です。

水を飲めば戻ります。

真夏のウォーキングと真冬のウォーキングで汗の量はまったく違いますが、同じ時間・同じ強度で動いたなら消費したエネルギーの差は汗の量ほど大きくはありません。

ここを取り違えると、夏は毎日たくさん汗をかいているから痩せているはずだ、という前提で1日を組み立ててしまいます。

そして体重が動かないことに落ち込む。

実際には、汗の量と減った脂肪の量は別のものとして見たほうが、体の状態を正しく読めます。

夏に基礎代謝が下がる3つの理由

基礎代謝とは、何もしていなくても生命を保つために使われるエネルギーのことです。

この基礎代謝は、実は暑い季節のほうが下がりやすいといわれています。

理由は大きく3つあります。

1つめは、体温を保つ仕事が減ること。 人の体はおよそ36度台を保つようにできています。外が5度の冬は、その差を埋めるために熱をつくり続ける必要があります。ところが外が35度の夏は、放っておいても体は冷えません。むしろ上がりすぎないように冷やす側に回ります。熱をつくる仕事が減る分、消費するエネルギーも小さくて済むと考えられています。

2つめは、活動量が落ちること。 暑いと外に出るのが億劫になります。ひと駅歩いていた人がタクシーを使い、夕方の散歩をやめ、涼しい部屋で過ごす時間が長くなる。1日ごとの差は小さくても、7月からの2か月で積み上がると無視できない量になります。

3つめは、食事の偏りから筋肉が落ちること。 食欲が落ちる夏は、そうめんや冷やし中華、アイスコーヒーで済ませる日が増えます。総カロリーは減っているのに、たんぱく質が足りていない状態です。たんぱく質が不足すると筋肉は維持されにくくなり、筋肉が減るとその分だけ基礎代謝も下がります。食べていないのに減らない、という感覚の裏側にはこの入れ替わりがあることが多いといわれています。

冷たいものの摂り方が体の内側に与える負担については、冷たい飲み物と代謝の関係をまとめた記事でも詳しく触れています。

自律神経の疲れが代謝を落とす仕組み

ここまでの3つに加えて、夏の終わりに効いてくるのが自律神経の疲れです。

自律神経は、体温・血流・消化・睡眠といった、自分では意識できない働きを調整しています。

体温調節もこの神経の担当です。

真夏の日本では、35度の屋外と25度の室内を1日に何度も行き来します。

そのたびに血管を広げたり縮めたりして体温を合わせているので、この時期の自律神経はかなりの残業をしていることになります。

その状態が数か月続くと、切り替えの反応が鈍くなってきます。

汗をかくべき場面でうまく汗が出ない、逆に涼しい場所でも汗が止まらない、といった不安定さが出るのはこのためとされています。

体温調節が不安定になると、めぐりの悪さやむくみ、だるさが出やすくなり、動く気力も落ちます。

結果として活動量がさらに減るという流れが生まれます。

そしてこの疲れは、夏が終わった瞬間に消えるわけではありません。

8月後半から9月にかけては、朝夕が涼しくなる一方で日中は真夏と変わらないという日が続きます。

この寒暖差が、すでに疲れている自律神経にもうひと押しをかける形になります。

秋になってから体調を崩す秋バテは、この持ち越しが原因のひとつと説明されています。

残暑の時期の整え方については、残暑バテを防ぐ自律神経のケアもあわせて読んでみてください。

自分の自律神経がいまどのくらいゆらいでいるのか気になる人は、1分でできる自律神経ゆらぎ度診断で状態をチェックしてみてください。

残暑のいま立て直す1日の流れ

体重の数字を追いかけるより、代謝が落ちる流れを止めるほうが先です。

残暑の時期にできることを、1日の順番で並べます。

  1. 起床時刻を固定して、起きて1時間以内に光を浴びる。 体内時計が整うと、日中に活動的になり夜に眠くなるリズムが戻りやすくなります。ベランダに出る、カーテンを開けて窓際で朝食をとる、それだけでかまいません。
  2. 朝食にたんぱく質を1品足す。 卵、納豆、ヨーグルト、豆乳のいずれかで十分です。夏の食事はどうしても炭水化物に寄るので、朝で先に確保しておくと1日の帳尻が合いやすくなります。
  3. 昼は冷たい麺だけで終わらせない。 そうめんなら卵やささみ、豆腐を乗せる。冷やし中華ならハムだけでなく蒸し鶏を足す。温かい汁物を1杯添えると、内臓が冷えきるのを避けやすくなります。
  4. 夕方の涼しい時間に少し歩く。 8月後半は日が落ちるのが早くなり、18時台の外はだいぶ動きやすくなっています。15分でも歩数が戻ると、落ちていた活動量の底上げになります。
  5. 夜は湯船に浸かる。 38度前後のお湯に10分ほど浸かると、体が温まったあとに深部体温が下がっていく流れをつくれます。シャワーだけで過ごしてきた人ほど、この時期に戻す価値があります。
  6. 寝室の温度を下げすぎない。 眠りが浅いままだと、日中の疲れが抜けず活動量も戻りません。眠りの整え方は睡眠の質を上げる方法の完全ガイドにまとめてあります。

すべてを一度にやる必要はありません。

1と2だけでも、朝の入り口が変わると残りが動きやすくなります。

よくある誤解

汗をかけばかくほどデトックスになる、と言われがちですが、汗の主な役割は体温を下げることです。汗をかいたあとの爽快感は本物ですが、それを体重や脂肪の減少と結びつけると、努力の割に結果が出ないという苦しい状態になります。

夏は薄着だから痩せる季節、と思われがちですが、体温を保つ仕事が減る夏はむしろエネルギーを使いにくい時期とされています。痩せやすいのは、実は体が熱をつくり続ける寒い季節のほうだという説明のほうが一般的です。

食欲がないから食べなければいい、と考えがちですが、たんぱく質まで抜けると筋肉が落ちて基礎代謝が下がります。減らすべきは量そのものではなく、冷たい甘い飲み物のように栄養が乗っていないものの割合です。

まとめ

汗をかいても痩せないのは、汗が体温調節のための反応だからです。

そして夏は、体温を保つ仕事が減り、暑さで動かなくなり、食事が偏って筋肉が落ちやすい季節でもあります。

そこに冷房と外気の温度差で疲れた自律神経が重なって、体は静かに省エネモードに入っていきます。

残暑のいまは、その流れを止めるのにちょうどいいタイミングです。

朝の光とたんぱく質、夕方の15分、夜の湯船。

この4つを戻すだけでも、秋に持ち越す疲れの量は変わってきます。

だるさや動悸が長く続く場合は季節の疲れとは別の原因が隠れていることもあるため、気になるときは医療機関に相談してください。